諸事情で久しぶりに合同会社を作ることになったので、以前はなかった 『法人設立ワンストップサービス』 というものを使ってみようと思った。
以前調べたときは専門の機材とか手続きが必要だったので専門の業者に頼んだ記憶があるが、もしかしたら最近(2022年6月)はマイナンバーカードとかあれば簡単にできるのでは?と思って調べたところ、電子署名はPDFにAdobe Acrobatで署名すればできるっぽいし、提出もマイナンバーカードとリーダーがあればできるっぽいぞ?ということでやってみた。
今回つくった法人
- 合同会社
- 資本金 10万円
- 代表社員一人だけ
- 登録免許税 6万円
たぶん最もお手軽な法人設立パターンじゃないかな?と思う。
法人設立ワンストップサービスについて
法人設立ワンストップサービス
https://app.e-oss.myna.go.jp/Application/ecOssTop/
2021年2月からサービス拡大されて、全ての行政手続きがワンストップでできるようになったらしい。
法人設立ワンストップサービスの対象が全ての手続に拡大されました(国税庁)
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/OSS.htm
詳しい使い方はサイトにあるので割愛するが、以下の様な流れで手続きをする。
- 「かんたん問診・申請」で必要な手続きを絞り込み
- マイナンバーカードでログイン
- フォームを入力
- 電子署名した添付書類をアップロード
- 送信
事前に書類は準備する必要がある
情報入力したら定款とか申請書とか全部自動生成してくれるのかと思っていたらそんな甘いことはなく、必要最低限の書類は自分で作る必要がある。
ここにある「添付書類作成例」をすべてパクリ参考にした。
一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!(法務省)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00117.html
「添付書類作成例」のテンプレートだけダウンロードして、それ以降は読まずに法人設立ワンストップサービスを使う。
「払い込みを証する書面」のお手軽作成方法
今回は合同会社なので「払い込みを証する書面」は「合同会社の出資金として、正に領収致しました」という領収書でもOKで、株式会社のように銀行口座の証明書の添付は必ずしも必要ではないらしいが、一人会社なので自分で自分に領収書出すのもおかしい話だなあと思ったので、従来通り(?)、銀行口座に振り込んで証明書を出すことにした。
だが手持ちの残高ゼロの口座なんて休眠状態でネットバンキング契約もしていない。
そこで、いつも使っている住信SBIネット銀行の「目的別口座」という、個人の口座の中に仮想口座を作れる機能を使った。
「個人口座」という名前の目的別口座をつくり、そこに資本金を移動させた後、その目的別口座の取引明細を期間指定で今日~今日に指定すると、資本金の入金記録だけが載って銀行の印鑑付きの書類がPDFで入手できる。その書類を「払い込みを証する書面」と結合してひとつのPDFにして電子署名すればOK。
GMOあおぞらネット銀行にも似たような機能があるが、記録をPDFとして発行できるのは前日までの記録なので、すぐにPDFが必要なときは難しい。
電子署名の方法
書いてたら長くなったので別エントリに分けた。
準備するものも以下リンクを参照。
電子署名された定款などの添付書類を自分で作る方法
https://nagk.net/2022/06/09/make-e-signed-pdf/
法人設立ワンストップサービスへの入力について
オンラインで一度に完結するうえに、受付時間外にも送信できるので便利だ。 しかし、難解な日本語が微妙に変化しつつ現れたり、同じ内容を何度も入れる必要があったりしてまだまだ洗練されていないため、
「ふりがな何回入れればいいんやー!!!」
「数字に桁区切りがないと間違えるやろー!!」
「『○○の場合は入力不要』ならば入力欄を表示しないでくれー!」
などとブツブツつぶやきつつフォームに入力した。
あとから振り返るとこの入力が一番辛かったが、途中で脱落するときは画面下部に今までの入力内容をローカルにエクスポートするボタンがあるので、力尽きる前にそのボタンを押そう。
再開するときはトップページ右上の「申請再開」ボタンからそのファイルをアップロードすればOK。
法人設立ワンストップサービスに入力するときの注意点
ほぼ同じ内容をフォームに入れるんだから自動生成してくれるといいのになあ、とおもいつつ、まだそこまで改革が進んでいないので心を無にして書類をつくりフォームを入力する。
僕がミスした点は以下。
- 資本金の額は統一しよう
- 作成途中で1万円→10万円に変更したので変更漏れがあった
- 住所は最初から最後まで書こう
- 都市名が抜けてたり
- 建物名と部屋番号が抜けてたり
- 「定款」と「登記すべき事項」に同じ項目があったら一字一句同じにしよう
- 「公告する方法」が「官報に掲載してする」と「官報に掲載する方法により行う」でズレてた
- GビズIDは今まで登録していないメールアドレスを準備しよう
こういう入力ミスを無くすためにフォームの入力値をチェックするのでは……?とも思うが、まあいずれ改善されることだろう。
法人設立ワンストップサービスのえらいところ
おちこんだりもしたけれど、感心したところもあったので書いておく。
法務局は修正箇所を文章メッセージで即日レスしてくれる
申請に不備があったとき、法人設立ワンストップサービス内の申請状況の確認画面で「不受理のお知らせ」というメッセージ内に「補正を要する事項」と題して修正内容を文字情報で送信してくれる。
その通りに修正すればよく、大変わかりやすい。電話でも連絡を受けたのだが、なじみのない項目内の用語をどう修正すればいいのかうまくわからず、自分の書いたメモを見てもまったくわからなかったので助かった。
法務局への登記は修正後にオンラインで再申請出来る
どうせ修正後のイレギュラー対応は印刷して押印してFAXとか郵送とかしなきゃいけないんでしょ、とか思っていたが、どうやらちがうらしい。
上記の不受理のお知らせから「再申請する」というボタンを押すと、修正が必要な部分だけのフォームが表示され、フォームの入力内容を指示通りに修正して、文言を書き換えて再度電子署名したPDFをアップロードして送信すれば完了。
オンライン最高!!
再申請を送信したのが金曜日で、月曜日には登録終わるかなーと思っていたが、たまたま担当者が月曜おやすみとっていたので1日延びたのは笑った。そこは担当者依存なのか。
申請後のもろもろ
「ワンストップサービス」なので、法務局以外にもついでに以下の場所に届け出を同時送信できる。
- 税務署
- 年金事務所
- 都道府県税事務所
- 市町村
- GビズID
これがすべてオンラインで行えるのはとても便利。不備があったときの修正方法など不便な点はまだ残っているが、以前に比べればかなりの進步だろう。
送信が完了するとe-taxの利用識別番号やパスワードなどいろいろ「送信手続き一覧」を通じて返信してくるのだが、紙の書類がそもそも存在しないのと、しばらくするとこのメッセージは見られなくなるらしいので、これらの情報はどこかにコピペして保存しておこう。
法人番号がすぐ発行されるので法人用銀行口座開設の申請ができる
法人設立ワンストップサービスを利用して登記をすると、設立登記完了日の16時または翌稼働日の11時に法人番号指定通知書が「手続き一覧」のところに送信されてくるのでPDFでダウンロードできる。
そこに書いてある法人番号を使えば、住信SBIネット銀行などの口座開設の申込もオンラインで出来る。ハンコも来店も郵送も不要。
僕の場合、ホームページも記入しなかったが、木曜日夕方に口座開設申込→土曜日昼に開設完了した。
法人のお客さま|住信SBIネット銀行
https://www.netbk.co.jp/contents/hojin/
とりあえずここまで。