コンテンツにスキップするには Enter キーを押してください

山奥に移住して半年生き延びた経緯とお金の話

Last updated on 2021年4月4日

山奥に移住した

2017年3月に、福岡県福岡市から熊本県阿蘇郡南小国町に移住した。
親父の実家が山を越えた先にあるけれど、この町には血縁者も友人も全く居なかった。

移住から半年くらいたったので、今の時点での雑感を記しておこうと思う。

移住したきっかけ

2016年末に父方の祖父が死んで、父の実家での葬式の夜。
庭に出るとその日は快晴で、満天の星空が広がっていた。

僕は学生時代から天体観測を趣味にしていたのだけれど、住んでいた都会の夜空の明るさと忙しさを言い訳にして、観測機器の出番は極端に少なくなっていた。

祖父の死に接して人間の一生の短さを感じていた僕は、暗く星がよく見える土地でなるべく過ごしたいなあと思った。

仕事どうしよう

田舎への移住者が直面する最大の課題は職業についてだと思う。

移住後に見聞きした範囲では、前提とする業務経験が必要ない仕事はわりと多く、常に人材が不足している。どこの職場も残業は(都会に比べれば)少なく、定時で帰れる人は(都会に比べれば)多いし、多くの人が兼業する農作業や突発的な消防団の業務に対応するため、突然の人員不足などに対しては「しかたのないこと」として集団で対処する力が高い。

しかし、一般的な転職で重視することが多い福利厚生や報酬、スキルアップのための投資などは都会ほど充実しておらず、全く違う職種で都会で大切に積み上げてきた経験を無駄にしてしまったりキャリアが停滞してしまう感覚をもつ人が多いようだ。

僕の仕事

僕のケースでは、前年度からの地方創生プロジェクトの中で町営のファブラボを開設する計画があり、そこのファブマスターを探しているという話を友人から知らされ、そこで初めて「南小国町」という町が存在することを知った。
調べてみると、インターネット上にほとんど情報は無かったが、夜は暗いし、祖母の家にも近くて介護も手伝えそう、ということで興味を持った。

選考後、南小国町の「地域おこし協力隊」という立場で採用された。

地域おこし協力隊とは

地域おこし協力隊とは、

都市部の若者等が過疎地域等に移住して、概ね1年以上3年以下の期間、地場産品の開発、農林水産業への従事等の地域協力活動を行いながら、地域に定住・定着を図る取組

地域おこし協力隊の受入れに関する 手引き(第2版) – 総務省

だそう。

僕の場合はこんな感じ。

  • 三大都市圏や政令指定都市などの都会→過疎地域や島などの移住でないとダメ
    • 僕は福岡市→南小国町なのでOK
    • いろいろ細かい規定がある
    • 例)「都会に住んでる外国籍の人が田舎へ」→OK
    • 例)「外国に住んでる日本国籍の人が田舎へ」→NG
  • 総務省(国)から町へ400万円
  • そのうち町から僕へ給料200万円
    • 月だと16万円くらい
    • ボーナス無し
  • のこりは僕の活動費200万円
    • 僕専用の公用車(軽バン)をリースしたり
    • 出張に行ったり
  • 住居は無料(木造一戸建て・3DK・元教職員住宅)
  • 出勤は週4日くらい(月で18日)
  • 出勤は役場に合わせなくても良い(今のところ10時)
  • タイムカードがある(人生初)
  • 任期は1年更新で最大3年
  • 副業・起業OK(後述)
  • 健康保険(協会けんぽ)&厚生年金&雇用保険あり

地域おこし協力隊の副業・起業について

一般的な地方公務員は地方公務員法により「営利企業等の従事制限」があり、兼業で農業をやってたり、実家がお寺で近所でお経上げたら謝礼をもらった、みたいな一部を除いて原則禁止だ。起業もNG(NPO法人の理事はOK)。

僕の場合は特別職非常勤職員という枠組み(消防団とか議員とかと同じ枠)なので、「営利企業等の従事制限」がなく、業務時間外に副業や起業するのは問題なし

同じ「地域おこし協力隊」でも一般職非常勤職員の場合は普通の地方公務員と同じく制限があるが、管理職の許可をもらえば認められる場合が多いようだ。他にも雇用関係がなく自治体からの委嘱のみの関係で、自分で国民健康保険や国民年金に入るような形態の人も居るらしいが、そういう人も副業はOK。

地域おこし協力隊は任期が3年間なので、着任してすぐから、3年後を見据えて自分の生活を考えていかなければいけない。そもそも、報酬も福利厚生もバッチリな職場が選べるほど潤沢にある地域なら過疎化してないわけである。多くの職場から自分に合うものを選んで面接して転職して、という都会の職探しは田舎では機能していない。さらに、地元出身の人間と違って、耕して農作物が得られる先祖代々の土地があるわけでもなく、仕事を斡旋してくれる親戚や恩師がいるわけでもないのだ。なので、仕事があれば田舎で暮らしたいなあ、という人より、仕事は自分で作るから手伝ってもらえるとうれしいな、くらいの人の方が移住後の悩みは少ないのだろうと思う

就職するにしても起業するにしても、いくつかの副業を経験することはその地域で生きていく環境を整えるためには必須だと思うので、この文章を読んで地域おこし協力隊になってみたいと思う奇特な人がもし居たら副業OKかどうかは確認した方がいいと思う。

地域おこし協力隊には、『地域おこし協力隊員等の起業に要する経費』として、最終年次又は任期終了翌年に1人あたり100万円を上限として国から助成金が出るので、それを前提にして計画を立てる人もいるようだ。

僕の場合、前職より年収は大きく下がってしまったので、昔からお世話になっていた東京や福岡、海外の人からインターネット経由で設計などのお仕事をもらって業務時間外にこなして穴埋めしている。光ファイバーインターネットが到達していないため抑えているが、来年度には開通するので、もっと効率よくなるだろう。お仕事絶賛募集中。

生活にかかるお金について

お金の話をしたついでに、生活にかかるコストについても書いておこう。

よく、

「田舎は生活費用が安いから給料が下がっても生活していけるよね」

などと言われることがあるが、田舎に移住して下がる費用変わらない費用上がる費用がある。

下がる費用
  • 食材費(野菜)
    • 農協の直売所に毎日行ける
    • 漬物作りたくなる
  • 家賃
    • 不動産業社経由で借りるとあまり安くない(一戸建て4万~)
    • 地元の空き家を直接借りると安い(一戸建て1万~)
変わらない or 上がる費用
  • 通信費
    • 携帯回線や固定インターネット回線
    • 光ファイバーがなくLTEルーターを契約しているので倍増
  • 食材費(肉・主食など)
    • 地元でとれるが『国産』なので高い
    • スーパーマーケットはあるが都市部よりは若干高め
  • 外食費
    • 「独り暮らし」をターゲットにした飲食店がとても少ない
    • 観光客向け価格
    • お酒が出るところでも21時くらいで閉まる
  • ガソリン代&自動車保険
    • 車通勤で走行距離倍増
    • 買い物も育児も出張も車
    • 燃費が悪い車に乗っている人(僕だ)は辛い

思いつくのはこのくらい。
全体の感覚としては、「節約はしやすくなるけど、同じ生活維持して自動的にコストが下がるってわけじゃないよなー」という感じ。

外食費が高くて野菜がめちゃくちゃ安いので、自炊が捗る
あと徒歩や公共交通機関で飲みに行けないので酒を飲まなくなったのと、締めのラーメン屋に行かなくなった。

南小国町のよいところわるいところ

住んでいる南小国町のよいところよくないところもまとめておこう。

よいところ
  • 夜が暗い
    • 10cm先が見えない暗闇
    • 天体観測には最高
    • 月明かりって便利(天体観測にはよくないが)
  • 野菜がもらえる
    • ピーマン大量にもらう
  • 涼しい
    • 夏の一番暑いときでも30度ちょっと超えるくらい
    • 扇風機も30分以上当たってたら風邪を引く
    • まさか8月末に毛布着て寝るとは思わなかった
  • 温泉入り放題
    • 月2千円で24時間入り放題
よくないところ
  • インターネットが遅い
    • 町営のケーブルテレビインターネットだけ
    • 夕方17時~19時くらいだと5KB/sしか出ない
    • 最速回線はドコモLTE
    • 来年度から光ファイバーが順次整備されるまでの辛抱
  • 寒い
    • たぶん冬ヤバい
    • 1月あたりは15cmくらい積雪することもある
    • スタッドレスタイヤ必須
  • 霧が多い
    • 視界2m
    • 霧と言うよりは雲の中?
  • 独身女性が少ない
    • 高校で一度町外へ出るのでそのまま帰ってこない
    • 子供を産んだ後に実家に戻ってくるパターンが多い
    • あふれる独身男性たち
  • オフィスがない
    • 法人登記したくてもできない
    • ないからつくるしかない

というような感じ。
夜が暗いのと温泉入り放題というだけで他のすべてが許せるのだが。

さあ半年後はどうなっているだろうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です